大会最少の269ストロークをマーク
宮里優作(フリー)がうれしいプロ初優勝
大会最終日は16日、長崎市のパサージュ琴海アイランドゴルフクラブ(7036㍎、パー71)で最終ラウンドが行われ、前日2位の宮里優作(フリー)が4打スコアを縮め、通算15アンダー、269で逆転初優勝した。宮里の269は大会最少ストローク。宮里は32歳で、2003年のプロデビュー戦以来、国内初優勝。
宮里は最終日、首位の手嶋多一(ミズノ)に1打差でのスタート。前半、9番のバーディーで追いつくと、後半は10、11番と連続バーディーを奪って逆転し、さらに16番でもバーディーを重ねて逃げ切った。手嶋は後半の中盤まで我慢のゴルフが続いたが、15番から3連続ボギーを打って力尽き、この日70で回った小田孔明(フリー)にも1打かわされ3位だった。
今大会には予選を通過した選手ら144人(うちアマチュア46人)が出場。3日目までは降雨などの影響もあってグリーンが止まりやすくなり、アンダーパーをマークする選手が続出、激戦となった。そんななか2日目には15年ぶりの九州オープン出場の手嶋が首位に浮上、やはりプロツアーのシード選手が優勝争いの中心になった。最終日は手嶋と宮里は最終組で気の抜けない展開を見せ、前の組を行く小田孔も逆転を狙ったが、「スコアを気にせず、目の前のプレーに集中できた」という宮里に4日間、60台のスコアを出されて、プロ初勝利を譲った。
通算8アンダー、276の4位は永野竜太郎(フリー)。初日首位発進だった狩俣昇平(フリー)は通算4アンダー、276で7位だった。
同選手権は今秋の日本オープン選手権の予選を兼ねているが、九州の出場枠は未定。
小浦和也(宮崎国際空港)に栄冠
アマチュアのベストアマ争いは専大3年、小浦和也(宮崎国際空港)が通算1アンダー、283のスコアで11位タイに入り、沖縄・首里高2年、玉城海伍(カヌチャ)に2打差をつけて2年連続の栄冠を手にした。サードアマは通算3オーバー、287で21位タイの大分・宇佐高1年、坂本隆一(中津)。
今大会は昨年からの「㈱えん」に加え「JX日鉱日石エネルギー㈱」が新たに特別協賛。従来の3日間から4日間トーナメントとなり、これに伴い賞金総額も300万円増の1800万円(優勝賞金は300万円プラス特別協賛による副賞200万円の計500万円)になった。
プロ12年目の初勝利に破顔
「プロデビューして以来、勝ったことがなかった。本当にうれしい」。多くのギャラリーや大会を支えてくれたボランティアに見守られながらの表彰式に臨んだ宮里優作は、スピーチでこう述べ、白い歯をこぼれさせた。
アマチュア時代、ジュニア、学生、アマチュアと各種日本選手権を制して期待されてのプロ入り。ところが、ことごとく勝ちに見放され、「いつかいつかと思っているうちに」いつの間にか10年が過ぎていた。
昨年、初めて出場した九州オープンで3位タイ。それで手にした地元沖縄・那覇GCでの日本オープンでは優勝争いを演じた。
何かが変わり始めていたのか。最終日最終組はかつての日本オープン覇者でもあるベテラン、手嶋多一と一緒。爆発力があり、油断できない相手。それが結果的に良かった。「スコアを気にせずに目の前のプレーに集中できた。フラットな気持ちでゴルフができたのが大きかった」という。16番で手嶋がボギーをたたいた時、自らはバーディーとして、「もしかしたら…」と初勝利を意識したという。
3年前から毎年オフに行う妹の藍らとのアリゾナ合宿。その場で、過去を反省するばかりでなく、自分の得意なものは何か。そこを伸ばす。「何をなすべきか前向きにとらえられるようになった」と丁寧にインタビューに答えた宮里。確実に何かが変わっていたのだ。
期待されるのは、これをきっかけとした〝脱皮〟だろう。自身、「勝ち癖をつけないと…。どんな試合であっても、優勝争いをして初めて参考になることもあるから」と言い、一つの壁を超えて、その口調に自信も感じられた宮里だった。 (Kiku)
2年連続でベストアマになった小浦和也 (この日2バーディー、3ボギー)優勝するプロはやはり、最終日はスコアを伸ばしてくる。最終18番のボギーが悔やまれる。いい勉強になったし、この後は、オーバーパーを打たない、年間を通じてアンダーパーになることを課題にして頑張りたい。