15~17歳の部はともに初優勝
男子は今野大貴(福岡・柳川高2年)
女子は新海美優(大分高3年)
25日は大分県竹田市の久住高原ゴルフ倶楽部(男子7116㍎、女子6425㍎=パー72)で最終ラウンドが行われ、15~17歳の部男子は今野大貴(福岡・柳川高2年)が通算3アンダー、141で、同女子は元JGAナショナルチームメンバーの新海美優(大分高3年)が通算3オーバー、147でいずれも初優勝した。新海は中学(大分・賀来小中)3年の同ジュニア12~14歳の部以来の優勝。
今野は68とチャージして逆転V
男子は48人が参加(欠場2人)。25日の初日は時おり10mを超す強い風が吹く悪コンディションの中での試合になった。今野は今年の九州アマチュア選手権を制した和田章太郎(福岡第一高3年)とともに首位に2打差、73の3位タイでのスタートだったが、風がやや収まった最終日は7バーディー、1ボギー、1ダブルボギーの68とただ1人60台で回る猛チャージを見せ、逆転優勝した。
2打差の通算1アンダー、2位タイは和田と初日首位タイの関凌之介(宮崎・日章学園高1年)の2人。さらに3打差の4位タイに初日首位タイの蛭川隆(鹿児島・尚志館高2年)と阿佐和典(福岡・沖学園高2年)が並んだ。
女子(参加38人、欠場3人)は初日、前年優勝の篠原真里亜(福岡・沖学園高2年)と、ナショナルチーム候補の権藤可恋(福岡第一高3年)の2人が1オーバー、73で首位に立った。しかし、最終日は篠原が77と崩れるなど上位陣のスコアが伸び悩む中で新海が72のパープレーで回って逆転優勝した。
1打差でこの日71の佐伯珠音(福岡・沖学園高3年)が75の権藤とともに2位タイに入った。さらに2打差の150、4位タイにはこの日70で回った堀亜莉紗(熊本国府高3年)、ナショナルメンバーの永峰咲希(宮崎日大高3年)、宮崎乙美(熊本国府高3年)、篠原の4人。
この試合の結果、第19回日本ジュニア選手権競技(8月21~23日、埼玉県・霞ヶ関CC)には男子上位20人、女子同14人(シードを除く)が出場権を得た。
12~14歳の部
男子は篠原仕師命(福岡・沖学園中3年)が初V
女子は勝みなみ(鹿児島・長田中3年)が
2度目の栄冠
12~14歳の部は男子の篠原仕師命(福岡・沖学園中3年)が通算イーブンパー、144で初優勝。同女子は勝みなみ(鹿児島・長田中3年)がただ1人のアンダーパーをマークする通算3アンダー、141で2年ぶり2度目の優勝を飾った。
33人(欠場1人)が出場した男子は初日、篠原と稲田愛篤(福岡・芦屋中3年)の2人が1アンダー、71で後続に3打差をつけて首位に並んだ。
最終日は篠原が73と安定したスコアで回って首位をキープ、そのまま逃げ切って初優勝を手繰り寄せた。篠原は前年の同選手権15~17歳の部女子を制した篠原真里亜の弟。
この日ベストスコアの5アンダー、67と驚異的スコアで回った芹澤慈眼(大分・庄内中2年)が初日の7オーバー、12位タイから浮上して単独2位。初日首位タイ発進の稲田はこの日78で、通算5オーバーの3位だった。
同女子は〝第一人者〟の勝が実力を発揮。2日間トップを走って2年ぶりの優勝を飾った。
勝は初日73で2位菊池玲花(熊本・長嶺中3年)に2打差をつけての発進。最終日はただ1人のアンダーパーの68をマークして通算3アンダーとし、2位に8打差をつけるぶっちぎりの優勝だった。
2位は通算5オーバー、149で菊池と、前年の優勝者、田中瑞希(熊本・桜木中3年)の2人。さらに1打差の4位に大川ひなの(鹿児島・志布志中2年)で、今年の九州女子選手権を制した新垣比菜(沖縄・具志川中3年)は8オーバーの5位だった。
第19回日本ジュニア選手権競技へは男子の上位6人、女子の11人(シード選手を除く)が出場権を得た。
意地の復活を果たした女子力
12~14歳の部の勝みなみ
女子の2部門を制した2人は、復活の九州ジュニア制覇に喜びの表情を見せた。
高校世代の新海美優(大分高3年)は、「高校で結果出していなかった。優勝を狙ってきて優勝できて本当にうれしい」と表情を輝かせた。
初日、首位に並ぶ篠原真里亜(福岡・沖学園高2年)、権藤可恋(福岡第一高3年)に2打差の75で3位タイ。篠原、権藤はJGAのナショナルチーム候補選手で、篠原は九州ジュニア連覇を目指す存在。その2人と同組での最終日、篠原が2ダブルボギーなどで77と崩れ、権藤もボギーが先行する苦しい展開。そんな中で、手堅いラウンドを見せたのが新海だった。午前中はスコアカード通りの36でターンすると、後半も1バーディー、1ボギーでパープレー。我慢に我慢を重ねた結果、優勝が転がり込んできたという感じだ。
中学3年で九州ジュニアを制し、期待されてナショナルチームメンバーに選ばれた。ところが、その期待が重くのしかかった。「ナショナルの名前に負けないように、いいプレーをしなくては」という思いがいつのころからか、パットが怖くて思うように打てないイップスに陥った。「30~50センチも打てなかったんです」という。
勝てない。ナショナルメンバーからも外れた。いつしか最終学年。プロを目指す新海にとっては、結果が欲しかった。そこで、この試合の前、以前から折に触れて指導を仰いでいた鈴木則夫プロにアドバイスを求めたところ、「あれこれ考えず、決めたら打て」。シンプル・イズ・ベスト。その結果が拾って、拾って…の逆転勝利だったのだ。
今年はプロテストにも挑戦する。だから、次は「日本」のタイトルも欲しい。長いトンネルから抜けて、吹っ切れたような表情を見せてくれた。
一方、12~14の部の勝みなみ(鹿児島・長田中3年)も2年ぶりの九州ジュニア優勝に笑顔を見せてくれた。それも初日から首位に立ち、終わってみれば後続に8打もの大差をつける快勝。
最終日は前半2バーディー、1ボギーで一つスコアを伸ばしての後半。「気合が入ってなくて…」15番までパーを重ねた。「これじゃダメ、一つでもとっていこう」と気持ちを入れなおしたところ、「ピンが見えてきた」という。ショートアイアンがうまくかみ合い、16番から3連続バーディーで締めくくった。
中1で九州ジュニアを制し、翌年には九州女子選手権で優勝。順調に飛躍していたかに見えた。ところが、以後はジュニアを取れず、今年の九州女子選手権は同じ中3の新垣比菜(沖縄・具志川中3年)に制された。「自分が不甲斐なくて、本当に悔しかった」と振り返る。
その屈辱をばねにしての優勝。「自分が生まれ変わったと思う」というほどの思い入れがあったのだろう。あとは、ジャパンだ。「日本ジュニアは取りたいですね」と言葉に力を込めた。 (Kikutake)
男子15~17歳の部優勝の今野大貴
○…叔父(母の兄)が今野康晴プロ。岐阜県・恵那西中3年の時、中部ジュニア優勝の実績を持ち、高校は福岡の柳川にゴルフ留学した。「レベルが高く競争が 厳しい九州でもまれるのもいい」。しかし、親元を離れた一年目の昨年は環境の変化に適応できず、成績も伸びなかった。2年目の今年は「寮生活にも慣れた し、高校生活もきちんと送れてる」と言い、競技でも結果を出した。
将来はプロ志望。九州を制して出場する今年の日本ジュニア選手権は、「自分のゴルフが今、日本レベルでどこまで通用するのか、しっかり戦ってきたい」と〝優等生〟の答えが返ってきた。
男子12~14歳の部優勝の篠原仕師命(はじめ)
○…姉との姉弟制覇はならなかったものの、最終日は3バーディー、4ボギーの73と手堅いプレーで、初日の首位タイから抜け出しての勝利。「100㍎前後からのウエッジがピンに絡んでくれた。うれしいです」と喜んだ。
実家は試合会場から近い九重町で旅館を経営。「跡継ぎに」と祖母に命名されたが、今では本人の「プロに」という希望を後押ししてくれているという。
168㎝、61kg。飛距離が出ないのが悩みだったが、腕の振り方、体の使い方を覚えて「10㍎伸びました」という。これからは、自らが課題に挙げるメンタル面の強化を図り、「日本ジュニア、ぜひ取りたい」と力強かった。